話し方教室

惻隠の情 (そくいんのじょう)を伝える

中国の戦国時代の儒学者で思想家でもある孟子の名言の一つに
相手を哀れに思い同情する。
人はともすれば自己中心に考え自分だけが良ければといいがちです。
しかしそれが行き過ぎると平気で人の悪口を言ったり人に迷惑することに繋がります。
そして『人間は誰でも他人の不幸を見逃せない素晴らしい心を持ている』と孟子は言っています。

たとえば子育てです。
喜びもあるが多くの人がその大変さに苦労をしています。

このようなお話をご存知ですか?

赤ちゃんを抱いた母親がデパートで言うことを聞かないこどもの頬を強く打って子どもは泣き出しました。
周りは驚き、「虐待?」の声も聞こえたとのこと。
そこへ20歳位の少女がつかつかと親子の所に進み出た。

母親をキッと見る。
そして泣きじゃくる子どもに
「大丈夫、もう泣かない。ほらほら」とあやす。
そして母親の前に立った。
たじろぐ母親。
そして抱かれた赤ちゃんの頭を撫でながら言う。
「まだ3ケ月くらいかな。今が一番大変な時だね。夜も寝かせてくれないんでしょ?そりゃイライラするよ」
そして上の子に向かって言う。
「僕もよく頑張ったね。大きな声でよく泣いたね。急にお兄ちゃんになっちゃっただもんね。
お兄ちゃんになるのも大変だよねえ」
子どもは母親に駆け寄り膝にしがみつく。
少女は2人にこう言った。
「お母さんもボクも二人ともよく頑張ってるねえ 二人とも偉いねえ」 
お母さんはその場で泣きくずれてしまう。
少女は優しくお母さんの頭を撫でた。
そして「お母さんも大きな声だね!」と言って微笑みながら三人を抱き寄せる。

「あやしい彼女」という邦画の1シーンです。

実はこの少女、肉体は20歳だが本当はおばあさんなのです。

一緒に心を痛め、憐み、何とかしてあげたいと感じる思いやりの心を意味する。
その心に従って動けば最高の徳にも繋がる。
巣立っていく若者たちに苦難が降りかかった時、そこには意味があり、いつかは人を救うことにもなるということを惻隠の情を持って伝えたい。

それも人生の先輩の役割なのでしょう。

今日のタイトルはそのような意味を持ってつけました。
話のタイトルの付け方で、話の内容や人の関心度も変わります。

当センターの教室では主題を大切にしています。
体験随時受け付けています。

電話0463-58-8740

今日の日があなたにとってより良い一日となりますよう

湘南話し方センター
所長 松永洋忠

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