晴れている。
わずかに雲はあるものの、五月晴れというのはこういうことを言うのだろう。
うん。エンジンも快調。
絶好の飛行日和だ。
となりに見える仲間の顔も晴れ渡っている。
この数日間の葛藤が嘘のようだ。
鹿児島の最南端にある、開聞岳、別名薩摩富士を左手に見ながら、僕たちの飛行機は空を飛ぶ。
大好きな日本。
この景色も見納めだ。
目的地まで二時間半。
まるで走馬灯のようにいろいろなことを思い出す。
ふるさとの景色。
幼い頃、悪いことをするたびにげんこつをくらった先生。
近所にあった駄菓子屋のおばちやんのだみ声。
あはは。いろんな人と会ったな。
そして最後に思い浮かぶのは大好きな母親の顔。
やっぱり僕が男だからなのだろうか。
母ちゃんのこと思い出すと、なぜか涙が出てくる。
母ちゃん、今度の秋祭り、戻れなくてごめんな。
あ~。もう一回母ちゃんに会いてえな。
仲間が窓の斜め外を指差した。
海に浮かぶ目的地が点位であるけれどが見えてきた。
さてそろそろ行きますか。
飛行機はキ―ンという音を立て、急降下が始まった。
鹿児島県知覧から飛び立った特攻隊の遺書。
平和の尊さを強く感じ慟哭の思いで胸がかきむしられます。
そして、話は聴き手がイメージしやすいような表現を入れると
心に響くものですね。
熱中症対策を常に意識してコロナに負けない一日となりますよう
湘南話し方センター
所長 松永洋忠