話し方教室

依頼、命令、暗示

他人の行動をうながすための言葉には大きく分けて三つあります。

『依頼型』
「運動会には必ず一等取って頂戴ね」 
「して下さい」 
「してよネお願い!」 
このようないい方は人を動かす上では、命令型(指図型)よりずっとスムーズです。

しかし動かされる側になると、
「頼まれたんだからしょうがない」
「かわいそうだからやってやるか」
のような消極的な気持ちになりかねません。

『命令・指図型』
「運動会には絶対一等取りなさい」
この命令・指図型はうっかり使い方を誤ると
「取れなかったらどうしよう」 
という心配や不安に子どもを追いやる事があります。
逆に「ムリだよ、そんなこと!」 
と反発心を起こさせたり拒否的な気持ちを抱かせたりします。
オロオロ、ドキドキ またはイヤイヤム―ドが多くなり、上手く運ばない時があります。

『暗示型』
「運動会、頑張って!きっと1位取れるかも知れないよ」
というい言い方が暗示型です。
前の2例は、人から言われて起こす行動です。
やるきっかっけはよそから与えられたものです。

しかし暗示は違います。
何処にも他からの働きかけはありません。

「あなたはそうなる」 という言い方です。
こう持ちかけられた時、子どもは「やるのは自分なんだ!」 
という気にさせられます。
「よ~しやるぞ! !」という
やる気十分の心でそのことにぶつかる、という点で前と大きな違いがあります。

お願いや、指図は受け身の立場ですからぶつけすぎると消化不良を起こす事があります。
そんなことから「〇〇しなさい」 「△△しなさい」 という要求のし過ぎは
逆にやる気のまったくない子供を作ってしまうおそれがあります。

言葉は生き物です。 
暗示は自分では思っていなくても
人から言われた言葉を、今度は自分の言葉にして自分の心の中に何回も何回も言い聞かせ、
そこから思いがけない力が発揮されることがあります。

今日の日が昨日よりもっと良き日となりますよう


湘南話し方センター
所長 松永洋忠

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